食がわかれば世界経済がわかる (文春文庫)
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分類: | 本
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発送可能時期: | アクセスしてご確認下さい
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参考価格: | ¥ 500 (消費税込)
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食文化が経済にもたらす寄与度 世界の経済繁栄は食文化と密接に関係している、という事を紀元前の中国から最近のファーストフード文化まで歴史を検証しながら書き記した内容。
「なるほど」と思える箇所が多く、読んでいて大変興味深かったです。また世界史がキライだった自分にもすらすら読める内容だったのは、やはり食というものの魅力が大きいからに違いない☆
面白い 経済に少しでも興味がある人は、最先端の技術や自動車、ITといった業界に目を奪われてしまうのではないかと思います。1つの技術を確立し他社の参入を排して大量に売りさばけば大きな利益が得られそうな気がします(実際にそう簡単にできるものではありませんが)。それらに対して「食」に関する業界は、労働集約的で地味な感じがします。農業、漁業にしてもそうですし、小売りやレストラン業界からビル・ゲイツのような人物が出てくるようなことはないように思えます。つまり経済学的に「食」は面白さに欠けると、私は勝手に勘違いしていたのです。しかし、この本は面白い。前著「経済の世界勢力図」と同様、極めて巨大な視点から世界経済を論じてあり、今回は特に食のあり方や歴史を軸として語られ、なるほどと膝を打つような話がいくつもありました。
これを読んだところで目の前のサブプライム問題に対処できるといったものではありませんが、確実に自分の血肉となる書籍であると言えます。また、平易に書かれてあり読みやすさはこの著者ならではです。以下、心に残った点。
・フランス、食の中華思想、食は文化・教養
・中国は、食文化の歴史が世界で一番長くて豊かな国。医食同源。
・「食は資源なり」、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア→アングロサクソン国家、ファーストフード、貧しい食文化、金融業、システマチック、効率主義、グローバリゼーション
・「食は文化なり」、中国、日本、フランス、イタリア、スペイン、アルゼンチンなど→アジアとラテン系諸国、スローフード、豊かな食文化、製造業、手工芸的、品質主義、ローカリゼーション
・アメリカでは魚は全部フィッシュ
・海外の漁師には活け締めの技術がないので、魚の痛みが早い。
・農業が豊かでなければ、工業化に必要な労働力が得られないので近代化ができない。
・食の工業化→日本料理的な価値観へ(健康、環境、旬、素材の味など)
ビジネス書をよく読まれる方には当然お薦めできますし、食育に関心のある方にも、第5章ファーストフード、第6章日本食ブーム、第7章リ・オリエントは、特にお薦めします。面白いです。
まとまっている 2006年に出た単行本の文庫化。
著者は大蔵省の役人として国際経済において活躍した人という。
世界経済に関する、入門的な概説書を何冊も出しており、本書もその一冊。
1980年代以降、西洋史学の主潮流であった社会史、世界システム論の成果を分かりやすくまとめてくれており、一般読者・初学者にはありがたい本といえるだろう。
ただ、細かい点では誤解やミスが散見され、ちょっと注意した方がいいかも知れない。
また、後半部で独自色を出しているファストフード、日本食ブーム、リ・オリエントの話は、そのままでは受け入れがたい。著者自身、本心からこんなことを考えているのか、疑問だ。
ユニークなグルメ経済学 タイトルを見た時は、食糧問題や食糧政策に関する内容かと思ったのですが、食文化の動きを追ってゆくと、リ・オリエント、東洋が世界経済の中心になってゆく時代がやってきた、ということが書かれた本です。著者は、TVでも時々拝見して、歯切れの良い、わかりやすい論評をされますが、文章もそのイメージ通りで、イスラム、中国、日本の食文化とヨーロッパ、アメリカの料理の変遷などを辿ってゆき、大きな時代の流れを食に関連させて解説されています。著者が相当なグルメであったことを伺わせます。経済に関連付けなくても、料理や食にご関心のある方にはお進めです。面白いです。
肩の凝らない歴史と経済の話。 ミスター円こと榊原氏の著作ということでもう少し固い文章を予測していたのですが、予想外に軽快な文章に少し驚きました。食と国家の盛衰というのを軸にした話なので、昔勉強した世界史の記憶が蘇り、面白く繋がったりするので中々に楽しめます。やはりあそこまで登り詰める人というのはタダの経済バカではなく、こうした歴史や文化といったことについても非常に造詣が深いのだなぁ、と思います。今は慶応で教えている筈ですが、この人の講義、案外面白いのではないかなんていうことも伺えます。なんでこんなに日本食がブームなのか、というのが歴史的経済的側面から理解できて楽しい読み物でした。日本では産業の高次化即ち先進国化というのがイメージとして大きいのですが、そこに警鐘が鳴っているようにも感じられます。文体からは非常に気さくな人柄なのではないかというのが伺えます。
個人的にはこの人には日銀総裁やってもらいたかったんですけどね。
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